認知症対策としての任意後見、家族信託②/

家族信託の特徴と、任意後見との「併用」が活きるケース――東久留米市のご相談事例から

前回のコラムでは、任意後見制度と銀行の信託型サービスについてご説明しました。今回は家族信託の特徴と、任意後見との「併用」が有効なケースを、東久留米市でのご相談事例を交えてご紹介します。

目次

■ 家族信託の特徴と「できないこと」

家族信託とは、財産を持つご本人(委託者)が元気なうちに信頼できる家族(受託者)に財産の管理・処分を任せる契約です。一般社団法人家族信託普及協会によれば、家族信託は家族の意思に基づいて柔軟に設計でき、裁判所の関与なく財産管理ができる点が特徴とされています。

主なメリットは次のとおりです。

  • 判断能力の低下前から財産管理を開始できる(契約後すぐに受託者が管理可能)
  • 家庭裁判所の関与なしに、不動産の売却や資産の活用ができる
  • 信託契約に死後の財産承継先を定めることができる(遺言に近い機能)

一方、家族信託には「できないこと」もあります。

  • 施設入居・病院の入退院手続きなど「身上監護」は権限外
  • 年金受取口座など信託に組み込めない財産がある
  • 農地や一部のローン付不動産は信託できない場合がある

【注意】介護施設入居契約や医療同意は、家族信託の受託者権限としては認められません。ただし、家族(子など)が別途の立場(家族・親族)として施設や病院と契約・同意することは、実務上認められることが多いです。確実を期すには任意後見との併用をご検討ください。

■ 東久留米市でのご相談事例:家族信託と任意後見の併用

【事例】東久留米市在住・Aさん(76歳・女性)。自宅不動産と預貯金1,000万円を所有。長男Bさん(50歳)に財産管理を任せたいが、将来の介護施設入居手続きへの対応も心配。次男Cさん(47歳)は遠方に在住。

【解決策】

家族信託:自宅不動産と預貯金を信託財産とし、長男Bさんを受託者に設定。Aさんの判断能力に関わらず、不動産管理・売却・預金管理が可能な体制を構築。信託終了後の財産の帰属先も契約で明確化。

任意後見:認知症発症後の介護施設入居・医療関係の手続きについて、次男Cさんを任意後見人候補者として公正証書で事前に契約。身上監護の権限をきちんと整備。

なお、受託者と任意後見人を同一人物にする場合は利益相反の問題が生じることがあります。管理を託せる人が複数いれば、受託者と任意後見人を別々に設定することが望ましいとされています。

これにより、財産の凍結を防ぎながら、介護・医療面の手続きも権限として裏付けられた体制が整いました。

■ どの制度を選べばよいか

各制度の特徴を以下の表で整理しています。

 銀行の信託商品任意後見家族信託
財産管理の柔軟性△(預金のみ)△(現状維持中心)
身上監護✕ ※
不動産の管理・売却
死後の承継設計

※ 「身上監護」(施設入居・医療手続きなど)は家族信託の権限外ですが、家族が別の立場で対応できる場合があります。

大切なのは「どれが正解か」ではなく、ご家族の状況に合わせた組み合わせを考えることです。NBC司法書士事務所では、開業以来の経験をもとに、お客様一人ひとりの事情に合わせてご提案しております。まずはお気軽にご相談ください。

NBC司法書士事務所では、任意後見・家族信託に関する無料相談を承っております。お気軽にご連絡ください。

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